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フィリピンのこと3 [フィリピン]

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隣の姉妹とクリスマスツリー

「青年海外協力隊活動体験集」から
”街にサンタがやって来て!”

スペインの植民地政策を受けたフィリピンは90%がカトリック教徒である。だから彼らはクリスマスが大好き。9月になると早くもラジオからクリスマスソングが流れだし、私も1993年の年末を楽しみにしていた。

州都イロイロ市からバスで3時間半の任地カルレスは、色水の入った細長いビニール袋を枯れ枝に結んだクリスマスツリーで飾られる。公園では新聞紙・枯れ葉・ヤシの葉・竹等で作られたクリスマスツリーコンテストもある。夜になるとお金持ちの家はビアガーデンみたいに色々なイルミネーションで輝き、権力と裕福さを誇示する。イブの夜、ラジオはクリスマスソングのオンパレードでうんざり。寝ていた私は夜中の12時、前の家のおじさん(セザール)に起こされみんなと食事をさせられた。賑やかなせいもあるが、新潟のように寒くなく雪がない、ロウソクの明かりを見ても停電で灯油ランプを常用している私は、日本のクリスマスイブのようなロマンを感じられず、夜空の青白いプレアデスを探していた。

クリスマスの当日、私は初めて犬の鳴き声で起きた。こちらの人は着飾り朝から教会へ行きミサを聞いている。昼食は隣のおばさんの妹の家に誘われた。庭では大きな鍋にキバをむき出しにした丸い形の物が4つ。朝の異常な叫びをそこで理解し、辺りを見渡し私の知らない犬なので安心した。犬は赤犬が好まれるが近所の犬はかわいそうなので、他のバランガイ(部落)で買ってくるようである。キニラオ(マリネ)と煮付け物に料理され私も食べた。この味はヤギのようで臭いは思ったより少ない。犬を食する習慣はルソン島北部だけと思っていたので、驚きはあったが体験をすることができよかった。周りにいた犬は心なしか涙顔で元気がない。家に帰ったらトイレの陰で私によくなついている赤犬の子犬(ブグットン)が横たわっていた。朝のショックがまだ残っていたのかと思い外に出したがずっと動かない。病気かと心配して持ち主を呼んだりしたが結局、ショックで腰を抜かしていて動けなかったようだ。

後日談だが、このとき上司はイロイロ市でナタ デ ココの生産に財産をつぎ込んでいた。お手伝いのリェナは私が上司に支払った2ヶ月分の生活費を受け取っていなかった。私は貧しい食事をあまり気にしなかったが、私に言えず近所の人々の助けを受けていたらしい。そして逆に”私たちはあなたを惨めと思う”とまで言われた。またこの子犬は私がカルレスに赴任した頃生まれ、私が他の犬と遊んでいると必ず割り込んできた。しかし、彼は150ペソ(450円)で私より先にこの大地を1年半で去ってしまった。私が買えばよかったと思うかも知れないが、サンタクロースでない外国人ボランティアの酷しさだ。

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