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会社への手紙13 [フィリピン]

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クラブパラダイスの朝日

RISING SUN
1995-02-08

今は最後の追い込みで、任地の離島にあるHigh Schoolで食品科学の授業をしています。1月はマニラやセブにも行ったので自分の部屋で寝たのは7日しか無かったです。

さて、今回は以前書いた「炎熱商人」の続きとなる本を読んだので重要な部分を書き出します。

Rising Sun Michael Crichton ハヤカワ文庫。この本は昨年日本でも映画が上映されましたが、本のほうがずっと面白いです。今は英語版を読んでいます。
では本文から、
”この国に貸すことにしたんだよ、合衆国政府は毎年、予算不足に苦しんでいる。みずからの計画を実行するだけの資金が無いんだ。そこで日本が、赤字国債を引き受ける形で財源を提供する。われわれに投資しているわけだな。そして政府の約束と引き換えに、巨額の資金を貸しつける。では、ワシントンが、日本にした約束は何か。それはたとえば、財政の改善や国債の削減や教育の向上、基礎構造(インフラストラクチャー)の再建などだ。必要とあらば増税も辞さずにね。要するに、アメリカは自助努力をしますということさ。なぜなら、それがアメリカへの日本の投資を実のあるものにする、唯一の方法だからだ、「そうですかね」「ところが、アメリカはなにひとつ自助努力をしていない。財政はますます遍迫し、ドル安は進むいっぽうだ。いまやドルは1985年の半分の価値しかない」
                        ・・・中略・・・
通常なら、通貨の価値が半減すれば輸入品の価格は倍になるはずだ。ところが、日本人はビデオやコピー機械などの価格を大幅に下げてマーッケットシェアを維持した。覚えているだろう日本人にとってビジネスは戦争なんだ。要するにその処置は、アメリカの土地とアメリカの企業を、日本の企業にとって安い買い物にしてしまったのにすぎない。”

日本政府のODA(政府開発援助)も同様で、日本の国益となるよう使用されている。ODAのNo.1はインドネシア、これは天然資源が豊富なためと思う。フィリピンは恐らくNo.4これは隣の国なので安全保障の為でないかと思う。一見Give And Takeのように見えるが、彼らが自助努力をしない限り、日本はGiveだけに見える。しかし図太い日本は何処かで必ずTakeしているはずだ。結局開発途上国は自助努力をしないかぎり先進国の餌食になってしまうのでないだろうか?
フィリピン人は日本人は仕事を戦争だと思っていると言っても理解するのが難しいようだ。ビジネスマンは現地語でNegosiante=Negotiatorつまり交渉者なのである。企業戦士ではない。命を懸ける必要はないのである。地方では、仕事をしなくても豊かな食資源で贅沢(テレビ、冷蔵庫、扇風機等)をしなければ十分生活できる所が多い。そして「仕合せか」と聞くと彼らは「仕合せ」と答える。近頃それで良いのにと、ふと思うことがある。

次回は協力隊事務局から最終報告書が行きます。私は帰路変更で2週間ロンドン、パリへ行き社会復帰の準備をし日本へ帰ります。新潟へは、ゴールデンウィーク前、おそらく4月25日頃には健康診断も終わり帰れると思います。あと2ヶ月、スケジュールも詰まっているのであっと言う間に過ぎてしまいそうです。

では皆様によろしくお伝え下さい。

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